ありきたり、とはいえないモノの相貌

「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容展
 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄

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展:瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄 ー「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容展 
時:2023[R05]12.02 Sat 〜 2024[R06]02.04 Sun
所:渋谷区立松濤美術館

 

冬らしい渋谷へ。雨模様のため地下通路は多くの人が行き交い混み合っていた。2023年1月に閉じた東急本店の脇を進み、建築家白井晟一が設計した松濤美術館へ。


東京都では板橋につぐ2番目の区立美術館だという。外壁の石材は韓国で採れたピンク系の花崗岩を使用。それを白井氏は「紅雲石」と命名。雨の中、余計にしっとりとした印象だった。


写真における「前衛」の解釈はいろいろある。特殊な技術や奇想な展開ではなく、ごく普通に見える目の前のリアルな日常の一瞬、それを写し取ることもアバンギャルド!という解釈によるのが今回の企画だ。


メイン4名の生年を追うと、瀧口(1903)阿部(1913)大辻(1923)の3名はちょうど10歳の差。好きな写真家の一人である牛腸は少し離れて(1946)年生まれ。


展示には、作家の思考を追うため、ベタ焼き(コンタクトシート)も掲げられていた。ダーマトグラフによる写真選択の痕跡、チェックも興味深い。多くのカットから何故その一枚を選んだのか。そこに潜む写真家の意志に、ほんの少し近づけたような気がする。


1930〜40年頃の雑誌『フォトタイムス』数十冊をはじめ幾つかの出版物が並べられていた。貴重な資料だが会場で細かな文字を追うことは難しい。無料部分と課金とを分けても良いから、サイトにアップして閲覧できれば良いのだがなぁ…などと思った。


館内展示の撮影は禁じられていたので、この場では具体的な紹介ができません。ゆえに数種類のバリエーションが楽しめるリーフレットや建築物周りの写真を取り上げておきます。


◎会場構成
・第 1 章 1930–40 年代
 瀧口修造と阿部展也:前衛写真の台頭と衰退
・第 2 章 1950–70 年代
 大辻清司:前衛写真の復活と転調
・第 3 章 1960–80 年代
 牛腸茂雄:前衛写真のゆくえ  


[2024.01.20 / 2024.02.13 update]


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