動物(どうぶつ)会議は踊る、のか

絵本「動物会議」

*画像はSNSで> INSTAGRAM https://www.instagram.com/p/CoGwQ5QLk0a/


題:動物会議
文:エーリヒ・ケストナー

絵:ヴァルター・トリアー
版元:岩波書店  https://amzn.to/42TzeOA

 

「会議は踊る、されど進まず」という言葉がある。

さて、この絵本ではどう描かれているのだろうか!?

 

岩波書店には、良い児童書がたくさんある。そのうちの一冊をご紹介。タイトルは「動物(どうぶつ)会議」。

 

本は二種類あってその違いは、ひとつは書名。小型は「どうぶつ会議」大型は「動物会議」となっている。明らかに異なるのは判型。その影響で収録されている絵の数に、22点もの差が付いている。

 

それだけではなく、デザイン面からみる大きな違いは、本文の組み方が縦組み(小型)と横組み(大型)ということである。つまり開き方が異なるのだ。

 

ちなみに、現在デジタルフォントのトップメーカーであるモリサワのPR誌に「たて組ヨコ組」があった。リョービには「アステ」が。どちらも文字を基軸に充実した内容の冊子でした。こういった企業の文化的事業が年々減っているのは寂しい限り。

 

話を戻そう。欧文絵本の翻訳版の場合、絵の向きとの関係を含め、視線の誘導からもおおむねヨコ組の方が納まりの良い展開になると思う。あくまで基本的に、だが。

 

日本語版は、はじめは小さな方が「岩波の子どもの本」にて出版(1954年12月初版)。時を経て作者エーリヒ・ケストナー生誕百年記念として大型絵本で復活(1999年11月初版)。いま入手するなら大きい方がオススメ♪[原著の出版は1949年]

 

この本のストーリー、今なら一部に批判される部分もあるかもしれないが、根本にある精神には強い主張が感じられる。子どもに戦争の責任は何も無いのに『いつもひどい目にあうのは、子どもたちだ』と記され、そして、最初で最後の動物会議を開くことになる。にぎやかな描写が楽しい会議場の背後に掲げられた旗には大きく『子どもたちのために』と。

 

どうしても戦争を葬り去れない人類の愚かさへの批判!それを柔らかなトーンで補完するのはヴァルター・トリアーの絵。動物たちの表情、親しみやすい造形、味のある色彩、ちょっと漫画的なタッチもより魅力的。

 

後半で人間と調印した条約は、『もはや国境は存在しない』からはじまり、軍備の廃棄、教育者の待遇改善などが記載。人類はそれらを希望として少しずつ進み理想に近づいていくのか、それとも未来への課題としてタイムカプセルに閉じ込め何万年も地下に貯蔵するのか…

 

大型絵本の後書きに、翻訳の池田香代子さんが記しています。

『戦争、難民、飢餓、それらに無力な国際政治。まるきり今も同じです』

 

写真:絵本の後ろ側にある英字新聞のような体裁の本は、2022年2月に PLAY!MUSEUM にて開催された『どうぶつかいぎ展』の公式図録。

8人のアーチストが「どうぶつかいぎ」からイメージした作品を展示。各作家へのインタビューと簡単な作品紹介が掲載されています。

本文の雰囲気も表紙に合わせ、新聞を意識したようなデザインが施されています。

(発行=ブルーシーブ/ブックデザイン=大島依提亜・中山隼人)

 

…さて今日から早くも2月。

昨年 2022年の2月24日、ロシア連邦プーチン大統領はウクライナ東部で「特別な軍事作戦」へと突入。侵略が始まった。

[2023.R05.02.01]

 

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《参考》

動物会議 [岩波の大型絵本]https://amzn.to/3DPEwjl

どうぶつ会議 [岩波の子どもの本]https://amzn.to/3jn9JmD

◎どうぶつかいぎ展 [展示会公式図録]https://amzn.to/3Du6Qax

エーリヒ・ケストナー https://amzn.to/3zj77e3

會議は踊る[映画]https://amzn.to/3WQUfFa

 

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