2021 NEW YEAR !「resilience」
*サブタイトル=ミライ ヲ ツナグ チカラ
「一陽来復(いちようらいふく)」この言葉は「冬至」のこと、そして冬から春への兆しを示すことから「新年」も意味しています。
また「よくないことが続いた後にいいことが起こる」というニュアンスも持っているらしく、それは、陰から陽へ、明るい兆しへと向かう印象といえます。まさに世界中がCOVID-19に悩まされた2020年からの2021年に合った熟語ではないかと。
事務所から出す新年のオリジナルカードは、毎年、前年度(過去)のできごとをふまえて、次年度(未来)への思い、希望・願望など、かなえたいなぁと想ういくつもの夢をつなぎ、多層のビジュアルに封じ込めて作っています。
【今回のテーマについて】
上記の「一陽来復」に通じるところがあるかもしれない「レジリエンス(resilience)」としました。ちょっと聞き慣れない言葉なので補足説明を。
一般的には、(困難や苦境から)回復する・立ち直る能力、復元・復活する力、または強靭さ、弾性のこと。
いま注目されている持続可能な開発目標[SDGs]のいくつかの項目にもこの概念が取り入れられています。
先日読み終えた本「レジリエンス思考 - 変わりゆく環境と生きる」(https://amzn.to/3sfK535)によると…
<ここからの段落は、上記の本の引用もあり長くなるので、後ろへ移します>
ポスト・コロナをどう暮らしていくか、少しのヒントになるかもしれません。
そして、カードのデザインでは、「再び・元へ」の意味から「re」の二文字を太く強調しました。
【ビジュアルの解題】
基本的な構図として、上には西方の山。下には東方の海。
山は阪神間に住む人には馴染み深い六甲(ろっこう)の一角。中央右に見える小さな突起は「甲山(かぶとやま)」。高校三年間を通して視界に焼きついた懐かしい風景。
海は神奈川県立近代美術館 葉山館へ訪れた際に撮影。海が「庭」のような、とても良い雰囲気の所。屋上?にて持ち寄りの昼食をとり、ちょっとした遠足気分♪
それらの景色は、どちらも画面の右から左へ、星がきらめく夜のようなニュアンスから白い雲が浮かぶ明るい昼へのグラデーション。そう、まさに陰から陽への流れ。
山と海をつなぐ中間の背景は、パートナー(米倉葉子[アグアレオン])が作る人工自然の景色〈部分〉。2020年度のカード「together」にも使用した作品で、前の年とも関連し、時がつながっているということも潜ませています。
中央に大きく横たわる横一文字の透明な「モノリス」には、葉子が昨年撮り続けた「小さな世界を発見するご近所旅」<インスタグラム>をピックアップして構成。コロナ禍の中でも自然は生き続け、花開き、美しく朽ちていく。再生の祈りを込めた多彩なカラーによるグリッド。
そして、下の方にサブ扱いで入っているキーワードは「connecting the dots」=「点と点をつなげ」
これは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズによる2005年スタンフォード大学卒業式でのスピーチでのひとこと。ひとつひとつの点と点は未来につながっており、それらが成果をもたらすことを信じて進もう、という風にとらえて配置。
画面では星と星を結び上部のタイトル「レジリエンス」へとつながっています。
フォローする和文は「ミライ ヲ ツナグ チカラ」言霊のパワーに期待しています。分断を生む、ごく単純な善悪、正邪、青赤の区分による遮断、差別ではなく。
そして、この★たちの位置は実は星座「牡牛座」を示しています。令和三年の干支「丑」にちなんでみました。
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< ↓ こちら「レジリエンス(resilience)」についてもどうぞ>
今読んでいる本「レジリエンス思考 - 変わりゆく環境と生きる」(https://amzn.to/3sfK535)によると…
少し難しい言い回しになりますが、レジリエンス(resilience)は
『システムが攪乱を吸収しながらも、基本的な機能と構造を維持する能力』を指し、「すぐに立ち直る」スピード感より「元に戻る能力を維持する」ことを重要視しています。
この本では、フロリダのエバーグレーズ湿地帯、カリブ海のサンゴ礁、ウィスコンシン州の湖と森など5つの「開発」事例を通して生態学的レジリエンスを考察しています。
その中で、レジリエンスは「社会生態系」という複雑な仕組みを持続させる鍵であると述べており、それは近年よく耳にする持続可能性や多様性にも関係しています。
他に気になるフレーズを記すと…
『化石燃料産業はレジリエンスを失っている』
(*私見を加えると、わざわざ複雑で強烈な核エネルギーを使ってお湯を沸かして発電し、人類が制御できない汚染物質を長きにわたり負の遺産として残す原子力産業も同様かと)
『新型の鳥インフルエンザ・ウイルスが変異してヒト - ヒト感染を起こす恐れ<中略>「もし起きたら」ではなく「いつ起きるか」だという人もいる』
(*この本はCOVID-19以前に執筆。これまでも感染症の脅威は繰り返されてきたが、グローバル経済下ではその危機は「無い」こと「見ない」ことにしてきた。それが、今回のパンデミックにつながった一因かもしれません)
結び的な部分は…
『レジリエンス思考は世界のあらゆる問題に効く万能薬ではない。しかし、資源利用の持続可能な方式を確立するための土台にはなる』
『大切になってくるのはシステムの適応能力と転換能力である。私たちにとって、それは、被害を最小限に留めて人間の幸福を増進するようなやり方で再組織化する能力を意味する』
ポスト・コロナをどう暮らしていくか、少しのヒントになるかもしれません。
最後に。 2021 かけがえのない日々をたいせつに。
[2021.R03.01.01]
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