古森秀夫+堀込和佳 二人展 「トオイモノ チカイモノ」
●展:古森秀夫+堀込和佳 二人展「トオイモノ チカイモノ」
●時:2016[H28]10/07 Fri. 〜 10/16 Sun.
●所:国分寺くるみギャラリー
http://kokubunji-kurumi.blog.so-net.ne.jp/2016-10-07
この展示がはじまる少し前に親戚の葬儀で飛行機に乗った。混んでいたため中央の座席となり、両側に気を使いながら前方のモニターをながめていた。小さく見えていた模型のような街並みは高度が上がるにつれ、いつしか雲しか映らなくなった。小さな画面の中で雲はひゅんひゅんとなびいていく。
1点おなじところでずっと動かない濃いグレーの像があった。それは小さな鳥の影のようにみえたが、水平の羽根は、自分が乗っている飛行機の翼と気付く。
影はもちろん同じ速度のため位置は変わらないが、雲脈をまるでサーフィンするかのようにスイスイと、なんだか軽やかな気分にしてくれた。
地上から見上げる雲… あぁ今日もパッとしない天気だなぁ… 頭上高いところにあるその時の雲は「トオイモノ」
東から西へとたくさんの人を乗せ猛スピードで移動する いまこの飛行機の影を写す眼下の雲は「チカイモノ」
同じ雲を下からと上からと同時に見ることはできないが、そのトオイ雲もチカイ雲も物事の表裏一体。トオイチカイは、自分からそのモノへの距離であると共に、対象に対しての立ち位置の差であることに、ウトウトしてきた機内でぼぉっと考えていた。
そして展覧会初日。ギャラリーの白壁に飛翔する古森さんの鳥たちは、それぞれの影を従えて自由な場所に位置している。記憶の中の機影とイメージが重なってくる。
固い器のはずなのにクリームのような泡のようなふわふわした雲仕様の堀込さんの皿や蓋は、まるであの時に見下ろしたつかみ取れそうな雲のように感じさせる。
夏には向かい合って話もしたのに、二ヶ月たたないうちに別の世界へと。旅立ちを見送ったこの秋。近しかった存在なのに、ほんとに遠くへと離れていったのか、よくわからない感覚だ。きっとこちらの気持ちの居場所次第でどちらともに受け取れるのだろう。
トオイ関係、チカイ関係というものも、実はそんなに離れていないのかもしれない。
p.s. これまで平面として描かれてきた古森さんの水彩画が積み重なって 地層となっている作品は、もうひとつの「本」…なんだか読んでみたい。
http://kokubunji-kurumi.blog.so-net.ne.jp/upload/detail/m_20161006_165714-b22b0.jpg.html
http://odehirimoco.at.webry.info/201610/article_10.html
[2016.H28.10.13]
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